世界最高峰のeスポーツ大会「Apex Legends Global Series(ALGS)2026 Split 2」におけるプロ選手のデバイス環境調査において、コントローラー(パッド)を使用する選手の割合が過去最高となる72%に達したことが、競技シーンの非公式データ集計サイト「ALGS Tracker」の発表により明らかになりました。長らくキーボード&マウス(KBM)が主流とされてきたPC向けFPSゲームにおいて、『Apex Legends』における競技シーンのメタ(戦術の最適解)は、完全にコントローラー中心へと決定的なシフトを完了しました。
数年前の2023年時点では、コントローラーの使用率はまだ55%程度で拮抗していましたが、年々その割合は増加の一途を辿っています。この急激なメタの変化の背景には、『Apex Legends』というゲームの性質が大きく関わっています。体力が多く、倒し切るまでに弾を当て続ける必要がある本作において、近距離戦闘時のソフトウェアによる「エイムアシスト」がもたらすトラッキング(追いエイム)精度の絶対的な優位性は、人間の反射神経の限界を凌駕しています。さらに、近年急速に進化した「プロ向けハイエンドコントローラー」の性能向上が、パッド移行への大きな後押しとなりました。
プロ選手が実際に使用しているコントローラーの機種別統計では、Sony純正のプロ・カスタマイザブル・コントローラーである「DualSense Edge」が38%という圧倒的なトップシェアを獲得しました。その最大の理由は、PC接続時に標準で1000Hzの高いポーリングレートによる極限の低遅延を実現している点と、スティックの物理的なデッドゾーン(遊び)を極限までゼロに近づけられる精密なセンサー精度にあります。また、背面に追加されたハーフドーム型のボタンにより、親指をスティックから離すことなく「ジャンプ」や「しゃがみ」といった必須のキャラコンを実行できる点がプロから絶対的な信頼を得ています。次いで、ホールエフェクトセンサーを搭載した「Razer Wolverine V3 Pro」が27%と続いています。
一方で、かつてはFPSの王道であったキーボード&マウス(KBM)を使用する選手の割合は、全体のわずか28%にまで減少しています。しかし、KBMが完全に不要になったわけではありません。ジブラルタルのドームシールドやニューキャッスルのモバイルシールドといった、ミリ単位の精密なアビリティ配置が要求されるキャラクターの操作や、遠距離からのスナイパーライフルの運用、そしてデスボックスからの高速な物資漁り(アーマースワップ)においては、依然としてKBMの直感的なマウス操作が優位に立ちます。そのため、チームの司令塔であるIGL(インゲームリーダー)やサポート役の選手にはKBMが好まれますが、純粋な火力で敵をなぎ倒す役割のフラッガーはほぼ全員がコントローラーを採用する「ハイブリッド構成」が現在のチームの標準となっています。
近距離でのSMG(サブマシンガン)による1ミリのトラッキングのズレが、チームの勝敗と高額な賞金を直結する現在のシビアな競技環境において、自身のプレイスタイルに合わせた高性能なコントローラーの選択とカスタマイズは、プロ選手にとって文字通り生命線です。今後の運営(Respawn Entertainment)によるエイムアシストのバランス調整や、新たなキャラコン技術の発見次第ではありますが、物理的なエイムの安定性において人間を超越する「パッド優位」の環境は、当面の間継続していくものと予想されます。
&q=85)